慌しく走り回る人の影
 活気の溢れた校内
 もう、すっかり夜なのに
 明日の準備はまだまだ続きそう

 そんな様子を2階の窓から見下ろして
 ぼうっと物思いにふけっていた



「いよいよ明日だな、学園祭」

「何かわくわくしてこない?
こんな時間までみんなと学校に居てさ」

「年に一回のお祭りだもんな
気持ちが一つになってる感じがするよ

ね、うさぎちゃん?」



「・・・うん、」

 わいわいと
 楽しそうに準備をする人達
 毎日変わらず続いていく、平和な風景

 こうしていると忘れてしまいそうだよ
 今は、大変な戦いの最中だって


 星野・・・
 明日ちゃんと来てくれるのかな?
 あんな風に別れてしまって
 どうなったのか気になって仕方が無い

 学校にも来なくなっちゃって
 なんだか胸にぽっかりと穴が開いたみたいだよ・・・



「スリーライツの事、
・・気になるわよね」


「美奈子ちゃん・・・」

「でも、星野君と会えて少しは話も出来たんだろ?
他の二人だって、いつかきっと分かってくれるさ」

「だと、いいんだけど・・」



「・・・もうっっ

元気が足りないわよ!!」

 バシン!と
 背中で大きな音が鳴る


「いったーーーい!!

何するのようっ
美奈子ちゃんたら、ひっどいんだから!」


「う・さ・ぎ・ちゃん?
そーんな暗い顔しちゃってさ

高校一年生の学園祭は一度きりなのよ?
後悔したって戻って来ないんだからねっ」

「そうそう、
せっかくのお祭りなんだから
楽しまなきゃ損だって」

「まこちゃん・・・」

「華麗に戦う美の女神にだって
休息は必要なのよ?」

「確かに、今のあたし達には
心配事が多いけどさ
それとこれとは別だよ」


「心配事かあ・・・」

 確かに多いかも
 最近、気が付くと必ず何かを考えて頭がいっぱいになっている

 星野達の事も、もちろん気がかりだけど・・・




「あっねえねえ!見てっ

校庭の隅で指示出してるの、
生徒会長じゃない?」

「・・・!?」

 その単語に
 心臓が過剰に反応して体がビクッと動いた


 もう一つの心配事・・・
 彼との間のぎこちない関係もそうだ

 デマンドとは
 あれ以降顔を合わせ辛くて全く会っていない

 最近は向こうも学園祭の準備で忙しそうだし
 どうせ来ていないだろうって決め付けて
 いつもの場所にも近づいていなかった


 今、この状態で会うのはきまりが悪い
 どうか気付きませんように




「会長、こんにちはーーっ」

「!?

ちょっと!美奈子ちゃんっ
止めなよ!!・・・忙しそうじゃない?」


「えー?
ちょこっと声を掛けるくらい大丈夫よう

お疲れ様でーーーす!」

「もうっっ」


「あ、ほらほら

こっち気付いたみたいだよ」



「・・・・・・」

「・・・っ」

 久しぶりに顔を見て、一瞬胸の奥がざわついた


 ふっと見上げるその視線が
 ゆっくりと声の主を探して、見つけ出す



「頑張ってくださいねーっっ!」

 美奈子ちゃんを少しの間凝視すると
 目線がちらっと横を向いた



 一瞬、時が止まったような間が空く


「・・・・・・」
「・・・・・・」


 それは、束の間の再会だった

 静かな時間はすぐに終わり
 まるで何事も無かったかのように動き出す


 ぶんぶんと
 手を振って叫ぶ美奈子ちゃんに軽く手をあげて応えると
 そのままどこかへ行ってしまった



「手を振って貰っちゃった!
ラッキーだったわねっ」


「あははは;

・・・良かったね」

 動揺を出さないよう
 必死に表情を抑えていたけど
 ・・・バレてないよね?

 あたしに気付いてた筈なのに
 何だか冷たくあしらわれた感じがする


 やっぱり、まだ怒ってるの?

 彼を戦いに巻き込みたくなくて
 結果その手を拒絶してしまったけれど
 もう、仲直り出来ないのかな・・・

 もっと言い方を変えて話していれば
 こんな事態になっていなかったのかもしれない

 どうしてこんな風になっちゃったんだろう
 何だか最近
 色々な事が上手くいってない気がするよ

 ちょっとめげそう・・・



「はあ・・・」


「ねえ、うさぎちゃん」

「・・・なあに?」


「考えなきゃいけないことはたくさんあるけどさ
明日は少しだけ忘れて楽しもうよ」

「まこちゃん・・・」

「そうよう?
もしかしたら、星野君だって
顔を出してくれるかもしれないじゃない

笑顔で迎えないとね!」

「美奈子ちゃん・・・
二人ともありがとう、励ましてくれて

明日は、めいっぱい遊んじゃおうね!!」
















「うさぎちゃん!
そっちお願いっ」

「ほら、
零さないように運びなよ!」


「あーん;
どうしてこんなに忙しいのよ〜」

 学園祭がいざ始まると
 物凄く忙しくて悩んでいる暇なんて一切無い


 あたふたと動き回っているうちに午後になり
 ピークの時間が過ぎて、ようやく一息ついた



「あー疲れた・・・
結構お客さん来たわね」

「そうだね;」

 ずっと慌しくて大変だったけど
 今はこっちの方が楽かもしれない
 動き回っていれば余計な事を考えなくて済む


「交代で休憩取らないと
最後までもたないわよ;」




「ちびちびーっ」

 しばしの休憩を取っていたら
 てててっと可愛い足音が向こうからやってきた


「お、ちびちびちゃん
よく来たね」

「ちびちび!
あんた、独りで来たの?」


「・・・ひとり?」

「はあー大したもんねえ
初めてのおつかいってやつ?」

「おつかいって・・・
そんな訳ないない;」

「えーでもさあ、


何か持ってるわよ?」


「あれ?・・・ホントだ」

 小さな両手でしっかりと
 何かの入れ物みたいな器を抱えている



「それ、なあに?ちびちびちゃん」

「香炉、・・・みたいだな」


「香炉?
そんなのうちにあったっけ・・・

ちょっと見せてよ」

「だーめっ」

「ちょーっとだけ、だめ?
すぐに返すから」

「だーめっだーめっ」



「ちびちびちゃんの
大事な物なんじゃない?」

「まあ、いいじゃないか
そっとしておけばさ」

「うん・・・」

 気にし過ぎるのも変だけど・・・
 でも、その香炉から漂う甘い香り
 前に何度も嗅いだ事がある気がする

 惹きつけられる、不思議な香り



「丁度人の波も収まったし
うさぎちゃん、今のうちにお昼ごはん食べてきなよ
ちびちびちゃんを連れてさ」


「あー、そうだね

じゃあ
ちょっと制服に着替えてこようかな・・・」

「そのままでいいんじゃない?
かわいいわよん」

「えー、やだよう
こんなメイドさんの格好のままなんて
恥ずかしいじゃん;

ちびちび、ちょっと待っててね?」

「ちびー!」












「さてと
何食べようか?ちびちび」

「ケーキ!ケーキ!」

「ケーキはご飯じゃあないわよ・・・」

 楽しそうに飛び跳ねながら前を歩くこの子を見ていると
 少し心が和んでくる

 今、この時くらい
 お祭り雰囲気を楽しんでいたい
 そう思ってもいいよね?



「こっちこっち!」

「ちょっと!
走ったら危ないって・・・


・・・・・ぶっ」

 走り去るちびちびを追って慌てて廊下の角を曲がったら
 歩いてきた人に激突した


 その胸の中に顔が埋まって息が止まる



「・・・・・・・・ぷはあっ
ごっ・・ごめんなさ・・・


・・・!?」



「・・・おまえ・・」

「デマ・・ンド・・・」

 何なの、この偶然
 よりによって一番微妙なタイミングで
 こんな形で鉢合わせするなんて・・・



「前を見て歩け・・

せわしない奴め」


「ごめん、なさい」

 怒られちゃった・・・
 どうしていつもこんな出会い方しかしないんだろう




「久しぶり・・・」


「・・・ああ、」

 月並みな挨拶に軽く返事が戻ってくる

 どうしよう、
 何か話さないと・・・



「忙しそうね?」

「まあな・・」




「・・・・・・」

「・・・・・・」

 気まず過ぎる
 こんな状態・・空気が持たないよ

 もう、退散しよう


「それじゃあ、
あたし行くね?」



「・・・

・・・・・!?」


「おにーーちゃんっっ」

「ちょっと・・!何してるのよっ」

 戻ってきたちびちびが
 デマンドの足に抱きついた


「・・・あそぼ?」

「・・・っ」


「ちびちび、離しなさい?
おにいちゃん、今日は用事があるって・・・」

「あそぶーあそぶー!」

 しがみついたまま
 首を横に振って必死に嫌がる


「もうっっ」



「・・・うさぎ」

「ごめんっ
すぐ、連れて行くから・・・」


「一先ず、場所を移動しよう」




「・・・・・・え?

移動って・・??」

 意外な言葉にしばらく思考が固まった



「ここだと人も多い
通行の邪魔だ」

「それはそうだけど・・・」

 足元のちびちびをひょいと抱き上げると
 こっちに軽く目配せをする


「ほら、行くぞ」


「・・・あ、うん」

 って一緒に行くの?

 つられて返事しちゃったけど
 一体どこへ・・・







 誘われるがままについて行ったら
 校庭の片隅に辿り着いた

 傍にあった木の下に、3人並んで腰を下ろす



「ちびーちびー♪」


「学際の運営・・・大丈夫なの?」

 何も話さないのもぎこちないから
 とりあえず世間話を振ってみた



「丁度昼食をとろうとしていた所でな
少しくらいなら大丈夫だ」

「そっか・・・

あたしも、休憩でご飯食べに出てきたんだ」


「ごはんっ」

「ちびちび、何食べたい?」

「ケーキ!」


「だから
ケーキはご飯じゃあないわよ;」

 無邪気に話す様子を眺めていると
 ほんの少しだけ場が和む

 ちびちびがいてくれて良かった
 二人きりだったら、窮屈すぎて息が詰まっちゃうよ



「あっ
おはなー」

「ちょっと・・・ちびちびっ」

 そう思っていた矢先に
 唯一の心の救いが傍を離れた




「・・・・・・」

「・・・え、と・・」

 途端に緊迫した空気が辺りを包み込む

 隣の人がどんな顔をしているのか
 確認することすら出来なくて
 まっすぐ前のちびちびから視線を逸らさずじっと固まっていた



「ちーびっちーびっ」

「はいはーい
あまり遠くに行っちゃだめよー?」

「だめよー?」

 向こうから手を振るあどけない笑顔
 可愛いオウム返しが遠くでこだまする



「・・・いい天気」

 ぽかぽか陽気に爽やかなそよ風・・・

 こうしていると忘れてしまいそう
 今が大変な時期なんだって
 戦いの真っ只中だなんて、考えられないよ




「・・・・・・」
「・・・・・・」

 さっきから、黙ったまま何も話さない
 やっぱり
 この前の事、怒ってるのかな

 ・・・ていうか
 いつまでこのままでいるつもりなの?



「ねえ
忙しいなら、もう行ってもいいのよ?
ちびちびはあたしが付いているから大丈夫だし」


「今は、休憩時間だと
先程言っただろう」

「そうだけど・・・
でも、ご飯も食べないとでしょ?」

「・・・特に空腹でもない」

「そう・・」


「・・・・・・」


 だんまりとして・・・
 あたしにどうしろって言うのかしらこの人



「こうして、
3人でいるのも何回目かなあ」

「さあな」


「・・・そういえばさ
昨日美奈子ちゃんが窓から呼んでたでしょ?

あたしもいたのよ、隣に」


「そうか・・・」

「それだけ?
ねえ、あたしに気付いてた?」

「まあな」


「・・・・・・」

 また途切れた

 一緒にいて、会話をする気も無いのに
 どうしてどこかに行かないんだろ

 それより、あたしはどうして
 こんなそっけない態度ばかりする人に
 ずっと気を遣ってるのよ・・・



 もやもやしていた何かが
 段々とイライラに変わっていく


「ちょっと、・・・デマンド
何とか話をしようと話題を振っているのに
さっきから何よ、

『まあな』とか『さあ』とかばっかり!」


「・・・・・・」

「あたしと話す気が無いならどこか違う所に行って!
ぎこちなくて肩が凝りそうよっ」



「話す気が無いのは、おまえの方だろう」


「え?」

「わたしには、何も話さないと
そう言ったのはおまえだ」


「!?
やっぱり、まだ根に持っていたのね

それと、・・・これとは違うでしょっ」

「どう違うと?」

「あなた、社交辞令もできないの?
適当な会話くらい付き合いなさいよねっ」


「適当な会話など、するつもりは無い」

「じゃあ
どうしてここにずっといるのよ!」


「わたしがどこで休もうと勝手だ
おまえの指図は受けん」

「何よそれ・・・っ

いい加減にっ!」



「ちびー!!」

「きゃっ!?」

 ダッシュで戻ってきたちびちびが
 そのまま背中に飛び乗ってきた


「はい、どーぞ
おねーちゃん?」

 にこにこ笑顔が
 目の前に小さい花を差し出す


「え?あ・・・

ありがとう、ちびちび」

「おにーちゃん
どうぞ?」


「・・・・・・」

「受け取るくらいしてよ
せっかく、くれるって言ってるんだからさ」



「・・・ありがとう」

「えへー!」

 その言葉に満足したのか
 また向こうへ走り去っていった

 ヒラヒラと飛び回る蝶々を
 捕まえようと追いかける愛らしい姿


 その前に、大きな影が立ちはだかる



「・・・?」

「蝶の残り香を頼りに辿り着いたと思ったら

やはり貴方ですか」


「この香り・・・」

「ええ、これは確かに」



「大気さん、夜天君!

来てくれたのね」


「あなたに
会いに来た訳ではありません」

「お祭りを楽しみにきたわけでもね」

「じゃあ、どうして・・・」



「そこの、
おちびちゃんに用があるんですよ」


「ちびちび?」

「大気!あれを見てっ」

 ちびちびを指して
 夜天君が大声を上げた


「間違いないよ!!
あの香炉・・・」

「やっと
手がかりを見つけましたね」


「大気さん?夜天君?

一体何を・・・」

 さっきからずっと、こっちは蚊帳の外・・・
 ちびちびを囲んで異様な雰囲気が流れている




「・・・それを、渡してもらえますか?」

「だーめっ」


「こいつっ
大人しくよこすんだ!」

「だーめっだーめっ!」

 助けを求めるちびちびが
 駆け寄って来てあたしの後ろに隠れた


「どうしたの
この香炉に・・何かあるの?」


「あなたに話すつもりも義務もありません

渡さないというのなら
奪い取ってでも貰っていきますよ」

「ちょっと待って!
とりあえず、事情を話して?

そしたら・・」

「おまえなんかに・・・話すもんかっっ」


「そんな時間はありません

さあ、早く!」





「待て、おまえ等」


「・・・!」

 しばらく様子を伺っていたデマンドが
 たまりかねたように口を挟む


「おや、
これはこれは生徒会長殿」


「いきなり現れて、不躾に何を言っている?
子どものおもちゃを奪うなど
大人げない事をするな」

「あなたには関係ない事です
横から口を出さないで頂けますか?」



「それは、子どものおもちゃなんかじゃない!!

大切な・・・
プリンセスの香炉だ!」


「プリンセスの・・・香炉?」

 悲痛な叫びから
 これをどれだけ探していたのか
 凄く伝わってきた


「そんなに必要ならば
まず、うさぎ達に事情を話すのが筋だろう」

「デマンド・・・」



「ははっ

・・・なあに?あんた
ぼく達と、やり合うって言うの?」

 彼の焦りが
 徐々に怒りのオーラへと変わっていく・・・


「夜天君?
待って、少し落ち着いて・・っ」


「邪魔をするというのなら

誰であろうと容赦しないよ・・・」

「きゃっ!?」

 瞬時に
 顔の先を鋭い風が横切る

 向かってきた拳を紙一重で避けれたけど
 その反射的な動きに体がついて行けず
 バランスを崩してそのまま後ろに尻餅を付いた


「・・・っ
いたた・・・」



「うさぎっ!

・・・!?」

「デマンド!」

 スピードの速い突きが
 今度はデマンドに攻めかかる


 華麗に舞う夜天君の後を
 銀色に輝くしっぽが追いかけた
 隙の無い攻撃の間から
 せせら笑いが聞こえてくる


「ふふっ

ほらほら
かわすだけじゃなくて、少しは反撃したらどう?」


「・・・くっ・・!」

「止めて!
その人には手を出さないでっっ

・・・・っ!」

 激しい交戦を横目に
 ゆっくりと近寄ってきた大気さんが目の前で足を止めた



「大気さん・・・」

「さあ、その香炉を渡しなさい」

「そんな・・・どうしてっ」


「これ以上
無駄な戦いを続けますか?」

「・・・っ・・」





「待てっっ!」

「!!」
「!?」


「おまえら・・・
一体、何の真似だっっ

そんな事止めろよっ夜天」


「星野・・・」

 星野の制止する声に
 二人の動きがぴたっと止まる


「どうして、止めるんだよっ」

「あなたは家にいなさいと
言っておいたでしょう?

まさか、
彼女に会いに来たのではないでしょうね?」


「会いに来たら、いけないのか?」

「星野!
いい加減目を覚ましてっっ
こんな女、どうだっていいじゃない!!」


「そんな風に言うな!

みんな、
大切な友達じゃないか・・・」

「そうよ・・・
どうしてこうなっちゃうの?
ねえお願い、話し合おう?

あたし達
きっと一緒にやっていけるはずだよ!」

「少しだけでいいから
話を聞いてくれ」


「そんな余裕はもう無いんだ!!

プリンセスは、すぐそこにいるんだよっ
ぼくはもう待てない・・・」



「夜天
プリンセスがすぐそこに・・・って

どういう事だよ!」

「星野は感じないの?
プリンセスの気配を・・・

そんな女に入れ込んでいるせいだ!!」


「夜天君・・・」

「星野を
もうたぶらかさないでっっ」



「夜天、落ち着きなさい

・・・分かりました
一度、出直してきましょう」


「大気・・何をっ!!」

「星野に、じっくりと経緯を話す必要があります

・・・それに
今は部外者もいる
これ以上の話はするべきではありません」


「・・・っ」

 その方向に視線を配ると
 デマンドが微かに眉をひそめて前を睨んでいた


「月野さん
その香炉、しばらくあなたに預けておきます

丁重に保管してくださいよ・・・」

「行こう、星野」


「おだんご・・・」

「・・・星野」

 ほんの一瞬会えただけで
 また何も話が出来ないまま別れてしまうの・・・?






「やっと、見つけたわよ」


「・・・?」

 後ろから届く声に何気なく振り返る

 そこにいたのは髪の長いサングラスの女の人・・・
 不敵な笑みを漏らし、あたしを注視していた



「誰?あんた・・・」


「セイレーン・・・
あんたの意志、確かにあたしが受け継ぐよ」



「・・・・・・」

「どうやら、
ただの通りすがりじゃないようですね」


「仲間が残してくれたこの手帳が
素晴らしいネタを提供してくれた

まさか、こんな平凡なお嬢さんが
真のスターシードの持ち主だったなんてね
分からないはずだわ


月野うさぎさん?
いいえ、セーラームーン!!」

「!?」

 バサッと
 着ている物を脱ぎ捨てると
 一瞬でその正体を現す


「セーラー・・・レッドクロウ!」




「あんたのスターシード、頂くよ!!」