「はーい」
「ちょっとちびちび
勝手に開けちゃだめよ
どなたですかー?」
ガチャ
「お邪魔しまーす!」
「みんな!?」
4人揃って玄関に飛び込んで来た
来るって聞いてなかったからちょっとびっくり
「・・・どこ?」
「は?」
「星野よっ」
「あーなるほど・・
それが狙いか」
「ごめんなさい、
星野君の事話したらみんなで行こうって事になって」
「うさぎちゃんも心細いと思ってさ」
「決して
若い男女が二人っきりじゃ危ないって言ってるんじゃないのよ?」
「あははは; ありがとう
みんなの気持ちは嬉しいよ」
「よっ」
ひょいっと上の階から星野が顔を出す
「きゃーっっ
アイドルの私服よっ」
「貴重なもの見ちゃった!」
「なんだ、みんな来たのかよ
まあ入った入った
ちょっと狭いけどな」
「あんたの家じゃないでしょっ
失礼なこと言ってるんじゃないわよ」
「それじゃずずいと
お邪魔しまーす!」
「どうしよっか
人が多すぎてあたしの部屋は無理だから
リビングにでも移動する?
・・・あーでもどうしよう
ケーキ三つしか買ってなかったなあ」
「・・・おまえ
ケーキから少し離れろ
食い意地のはったやつめ」
後ろからの声に振り向いたら
デマンドが階段の上に座ってこっちを眺めていた
「食い意地が張ってて悪かったですね」
「そんなに食べたければ一人で全部食べろ
わたしは甘い物は苦手だ」
「あーそうですかい
じゃあそうします
とりあえずさ、
みんな下にいるから先輩もおいでよ」
「結構だ
静かな方が良いのでな
一人で上にいる」
ムッとした表情を最後まで変えずに
そのまま部屋に戻っていく
「全く・・・協調性の欠片も無い人なんだから
みんな、どしたの?
さっきからずっと固まったままだけど」
「会長がいる
・・・うさぎちゃんの家に」
「どうして?」
「どうしてって・・・
えと、どうしてだろうね
あたしもよく分かんないよ」
「何っその曖昧な答えは!
ちゃんと言えないの?もっとはっきりとっ」
胸ぐらを捕まれてブンブンと左右に振り回される
「やーめーてー;」
「会長
おだんごの間男、みたいな事言ってたぜ
ただならぬ関係だとか?」
「はあっ?!
あんた、
まもるさんの事忘れちゃったわけ?」
「ちっ・・違うよ!そういう訳じゃあ・・・」
「じゃあどういう訳なのよっ」
「もうっ
星野ったら変な事言わないで!」
「〜♪」
知らぬ振りして鼻歌なんか歌ってるよこの人
こっちはレイちゃんに問い詰められてもう後が無いのにっ
「うーさーぎー・・・」
「あーん;
許してーっ」
「ちびちび!」
その時
つんつんとレイちゃんの服を
ちびちびがにこにこしながら引っ張ってきた
「あら、ちびちびちゃん」
「こんにちは」
みんなの視線がそっちに向かう
あー良かった
ちびちびに助けられたね、こりゃ
「ちゅー」
「・・・ちゅー?」
「なの」
可愛い笑顔がこっちを指差してきた
「!!!
はいはいはい!ちびちび?
お姉ちゃんたちは夕ご飯作るから
ちょーっとあっちいっててね!」
みんなが何かに気づく前に
急いでこの場をまとめてしまおう;
「さてとっ
人も増えてきたしさ、そろそろご飯を作り出そうか!
まあ、先輩はあれで仕方ないとして
星野はケーキ持ってリビングに下りてきなよ
ちびちびと遊んであげてて
はい、それぞれ行動開始ーっ」
夕食はハンバーグを作ることにした
みんな台所でそれぞれの作業に移り出す
「うさぎ、
・・・どういうつもり?」
「どういうって・・?
星野がうちに来るって言うのはみんなも知ってたでしょ」
「だから、会長の事よ!」
「星野君の事は聞いてたけど
どうして会長までいるんだい?」
「あー・・・あの人はねえ
何なんだろうね」
「うさぎちゃんずるい!
いい男二人も独り占めして
一体何人キープしておくつもり?
女は怖いわねえ」
「それ、美奈子ちゃんには言われたくないかも」
「一体いつ仲良くなったんだい?」
「仲良くだなんてそんな・・」
「もしあたし達が来なかったらどうなってたか」
「どうなってたと思う?
星野と会長でうさぎちゃん争奪戦バトル??
はたまたもしかして3人で・・・」
「だから、違うんだって;」
「本当にあんたはいつも抜け駆けばっかりして
・・・まだ忘れてないわよ?
うさぎがテレビに出たいからって大気さんにあげたまこちゃんのお手製苺
みんなのショートケーキになるはずだったのに」
「ちょっと、それまだ言うの?
あれはケーキ奢ってあげてチャラになったでしょ!」
「それとこれとは怒りの種類が違うのよっ」
「ならケーキ奢ったお金返してよ!」
「みんな止めて!!」
騒がしくなってきた空間を制止する強い声
さっきから黙々と作業をしていた亜美ちゃんが
その手を休めず静かに言葉を続けた
「うさぎちゃんにはうさぎちゃんの事情があるのよ、きっと
まもるさんにはナイショにしておいてあげましょ」
そう言いながらも包丁の手が一向に止まらない
背中から禍々しいオーラが漂ってくる
「ちょっと、亜美ちゃん?
何してんの?そんなに剥いちゃって・・」
恐る恐る覗いてみたら
ニンジンが綺麗に削がれて影も形もなくなっていた
「うさぎちゃん・・・
フケツ」
カシャン・・・
「あ・・亜美ちゃん?、考えすぎだってば;」
「あーあ、
にんじん全部ささがきにしちゃったよ;」
「メニュー・・・変える?」
ピンポーン
「はいはーい!」
ガチャ
「おや、かわいいお出迎えですね
星野はお邪魔してる?」
「・・・お邪魔してる?」
「なんか埃臭い家・・・
ねえ、早く帰ろうよ」
「大気さんっ夜天君っ!
遊びに来たんですか?」
「えっ嘘!?
スリーライツが勢揃いなのっ」
「・・・いらっしゃい」
「・・・っ・・」
「・・・うわ・・」
台所から顔を出した
あたし達の姿を見て驚いている
そりゃそうだろうなあ
今のあたし達の姿は粉だらけのぼろぼろ状態
「なんだ、おまえらも来たんだ」
「何事です?星野」
「途中まで順調にご飯作ってたんだけど」
「・・ゴキブリが出てきて」
「星野君が退治しようとしたら」
「こっ・・・こっちに飛んできて」
「気がついたら、この通り
あはははっ」
「あーあ、ばっかみたい
星野まで何やってるんだよ」
「・・ピザでも頼みますか」
コンコン
・・・ガチャ
「デマンド?」
「何だ」
「ずっと一人で何してるの?」
「別に何も
おまえ達はどうした?
さっきまでやたらと下が騒がしかったぞ」
「まあー色々あったんですよ
それは聞かないで;」
「・・・?」
「ねえ、退屈でしょ?
人も大分集まってきたから
そろそろリビングに来ない?」
「大分集まっただと?
・・・あれからまた増えたのか」
「まあまあ、とりあえずさ
行こ?」
「・・・・・・」
気が乗らないが・・
一先ず行ってみるか
階段を下りている時点から
ざわざわとした人の声が耳に入ってきた
「お待たせーっ
これで全員集合だねっ」
「会長っ
こっちこっち!」
・・・バタン
騒々しい様子を確認しただけで扉を閉める
何だこの無秩序な空間は・・
こいつの周りにはいつも気がつくと人が集まってくる
ここに身を投じるのは出来たら回避したい
当初は星野一人が来ると聞いていたから多少心配はしていたが
・・・これなら大丈夫だろう
「うさぎ」
「ん?どしたの?
リビングに入ろうよ」
「そろそろわたしは帰る」
「えっどうして!」
「もう居る必要が無くなったからな
あれだけ人が居れば何とかなるだろう
またな」
「ちょっとちょっと!待ってよ
せっかくいっぱい集まったんだからそんなこと言わないで」
こんなにたくさんの人と
楽しくわいわいさせられる機会なんて滅多に無いのに・・
「・・・他人と馴れ合うのも騒がしいのも苦手だ
だから帰る」
「待ちなさいってば!」
未練も無く立ち去ろうとする背中に
必死にすがりついた
「何だ?」
「空気を読みなさいってば!
ここであなたが帰ったらみんな気にするでしょ」
「他人が何を気にするかは知らないが
そんなことオレには関係ない」
「デマンドっ」
「・・・離せ」
少し強い力で振り切って玄関に向かう
この人はもうっ
人の気も知らないで・・・
「今帰ったら
・・・もうおうちに遊びに行ってあげないわよ?」
ぴたっ・・・と足が止まった
あれれ?
結構効果大かも
一瞬間が開いて
ちらっとこっちを見る
「別に来たくなければ来なくて良い
好きにしろ」
「あーもうっ嘘だってば!
お願い、待ってっ」
どうしたらいいんだろ
こうなったら・・・色仕掛けでもしてみる?
「デマンド?
あたし、
あなたがいなくなったら寂しいよ・・・」
「・・・・・・」
「あたしを守ってくれるって言ったでしょ?
いてよ・・・傍に」
「それで色仕掛けでもしているつもりか?」
「あ、バレてた?」
「浅はかな・・」
「もう、いいじゃん!
せっかく遊びに来たんだからゆっくりして行って欲しいのっ
ねーいようよーー
ねーってばー!」
最後は結局駄々っ子作戦だった
「・・・おまえが居て欲しいというのなら仕方ないが」
「あーはいはい、
それでいいからさ
・・・ねっ?」
「・・・・・・」
「はい決定ー!
じゃあみんなの所戻ろうか」
面倒くさそうに立ち止まる体を
なんとか引きずってリビングに戻る
「今度こそお待たせー!
ねえ、何してるの?」
「今からトランプする所よ
二人も早く入って」
「わたしは良い
他の者だけで・・・」
「もちろん先輩もやりますよねっ」
「・・・っ・・」
強めに背中を叩いてやった
「・・先輩?
生徒会長が周囲の和を乱してどうするつもりですか
や り ま す よ ね?」
「トランプだと?
そんなもの高校生にもなって集まってするものでもないだろう
くだらない遊びに付き合わせるな・・」
「さすがにこれだけ人数がいると
中々揃わないな・・・
あたしパス」
「僕もパース」
「あーあ、
年頃の男女が9人もいて七並べなんて
健全すぎて怖いわよね
あたしもパス!」
「・・・おまえ、出せるのに出してないだろ?」
「さあー?どうかしらん
デートしてくれたら出してあ げ る」
「何いってんだよ、出せよ!」
「やーよ!」
「ちょっと
さっきからここ誰が止めてるのよ」
・・・わたしだ
「ハートも全然動いてないぜ」
そこもわたしの駒だ
愚かな奴等め
ただ必死に
目の前の手駒を無くそうとしているだけの彼らを心の中で嘲笑っていた
戦術も何も考えていない
そんなおまえ達の手の内などすべてお見通しだ
「あーくそっ
さっきからどうしてこんなにオレだけ出せないんだよ!」
特に星野、おまえには特別に手をかけてやろう
最後の一枚になろうとも絶対に貴様のゴールは阻止してやるわ
「あたしもパスだわ・・」
「うさぎ、おまえハートの4を持っているだろう
ほら」
「あーっハートの5じゃん
ありがとうっっやったね!」
嬉々とした顔でカードを出す
そんな施しを無邪気に受ける姿を見て優越感に浸っていた
今、ゲームのすべてを牛耳っているのはこのわたしだ
生かすも殺すもわたし次第という事だ
おまえ達はせいぜいその前であがいていれば良い
「・・・む」
先程からクラブが途中で止まって一向に動こうとしない
これではこちらの手駒が出せないな
この一枚さえ越えれば終わりは見えているというのに
・・・誰だ?
少し周りを観察してみた
鋭い眼光でタイミングを計っている者が向かいに居る
水野亜美か・・・
成績優秀な彼女の事だ
何か策があるのだろうが・・
次のターンで仕掛けてくる気らしい
ここは様子を見るべきだな
「次はあたしの番ね
大気さん、
・・・ここ止めてらっしゃるでしょ?」
クラブの9にジョーカーを置いて横に目を遣った
「・・・ふっ
敵わないな水野君には
先制攻撃ですか?」
「あら、あたしはただ
クラブの10が出したかっただけですけど」
「いいですよ
これは甘んじて受け取っておきましょう
でも、水野君も止めているでしょう?
クラブの5」
「さあ、何の事かしら」
「・・・まあ、
そういう事にしておきましょう」
「大気、そうムキになんなよ」
「あたしたちはまたパスかな
ねえ美奈子ちゃん」
「あたしもだめだわ;」
「では、わたしの番だな」
緊迫する空気が二人を包む中
クラブのジャックをスッと出してやった
「ありがとう、
君達二人のおかげでわたしもカードが出せた
残りあと一枚だな」
「・・・っ・・」
「・・・!?」
彼らが意表を突かれた顔をする
愚かな・・・
わたしをノーガードにしたのがそもそもの間違いだ
成る程、
二人は中々頭の回転が早い
だが気づくのが遅かった
互いを意識し過ぎていて
ゲームの真の支配者が見えていなかったようだな
その存在にようやく気づいたか?
まだまだ甘い
その間抜けな面々に涼しい顔で微笑んだ
「うさぎと星野は当然パスだろう
さあ、大気君
次をどうぞ?」
「・・・パスです」
「あたしも、
・・・パスです」
「くくっ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ちょっと・・・」
「何よ、この雰囲気」
「うっ・・・」
この一帯だけ変な空気が流れている
得体の知れない灼熱のオーラが肉眼でも見えそうな・・・
「あのーもしもし?
3人共・・・
これ、ただのトランプよ??」
「そんなことは」
「分かっている」
「ただのトランプであろうと、
勝負は勝負よ」
「は・・・入り込めない;」
「3人共、マジだよ」
「こりゃ敵うわけないなあ」
「あがったー!
やった!ビリじゃなかった」
「おまえ、わたしが情けをかけてやった割には遅かったな」
「何、その上から目線
別に先輩に助けて貰った覚えなんてないですけど?」
「なんだよ、結局オレが最後かよ;」
星野が出せなかったジョーカーを
テーブルの真ん中に放り出した
「やーい、ビリっけつー」
「ついてないなあ・・」
「すべてが運のせいではない
所詮ココの出来が違うのだ」
「・・・っ!
ああそうですかっ」
「会長はあがるの早かったなあ」
「さすがです
あたしもまだまだだわ」
「ふっ
計算は昔から得意なのでな
これくらい出来なくて学校全体を仕切れるわけが無い」
「あはは;」
・・・ただのトランプなのにどうしてそこまで本気に
負けず嫌いで、遊びにまで本気になるこの人が
遠い未来にまた反逆者になって
地球に攻めてくるのかもしれないと思ったら
それってかなり嫌かも;
そうなりませんように・・
切実に祈っちゃうよ!
「ていうか、会長って結構お茶目なのね」
「そうね、意外だったかも
ね、うさぎちゃん」
「うん、そうだねっ」
でも良かった
嫌々始めた割に結構楽しそうだったじゃん
みんなの印象もちょっと変わったみたい
もっとこんな風にたくさんの人と触れ合う機会を作ってあげたいな
「何だ?
人の顔をじろじろと・・・」
「ううん、何でもない」
「ねえねえっ次はさ、ウノしようよ!ウノ」
ピンポーン
「また誰か来たわね」
「今日はお客が多いわ」
「はいはーい
ちょっと待ってくださいな」
ガチャ
「あれっ!
はるかさんっみちるさんっ」
「やあ、子猫ちゃん」
「ごきげんよう」
「どうしたんですか?」
「ちょっと車の機嫌が悪くてね
近くで止まっちゃって
おだんごの家が近かったのを思い出したんだ
お邪魔するよ?」
「あー別にいいんだけど
ちょーっと混んでますよ?」
「混んでる?」
「まあ、どうぞどうぞ」
リビング見たら人の多さにたまげるんだろうけど
「・・・あれ?」
「・・・っ!
おまえ・・・
どうしてこんな所に」
あ、やばいかも
この二人はちょっと仲が悪かったの忘れてた・・
「へえ、
芸能人は意外と暇なんだな」
「たまたまキャンセルがあっただけだよ
それにオレ、今日はおだんごのボディガードなんだ」
「ふーん
最近のボディガードは仲間を連れ込んで大騒ぎするのか」
「何だとっ」
「おまえみたいのがいると却って危ない
さっさと帰れ」
「はるか、みんな見てるわよ?」
「・・・っ・・」
「じー・・・
すごいわね、これが修羅場ってやつ?」
「・・初めて見たわ」
「あれって、
星野君に対抗意識を燃やしてるって事なのかな?」
「みんな、失礼よ;」
「や・・やあ、子猫ちゃん達
そんなに見つめないで欲しいな;」
「まあまあ、とりあえず座った座った
今、飲み物でも持ってきますねー」
「・・・・・・」
また人が増えた・・・
ここはどこぞの集会所なのか?
「始めまして、あなたは?」
「あたし達の高校の生徒会長さんです!
会長、
みちるさんはあたし達の友達で・・」
「・・・先日のジョイントコンサートのバイオリニストか」
「あら、観に来て下さってたの?」
「招待チケットを頂いたのでな」
「はいはーい!
あたしがあげたんですよっ」
「ああ、あの一枚多くって・・あなたでしたのね
いかがでした?」
「素敵な演奏でしたよ
音楽の事はよく分からないがそれでも迫りくる情熱は肌で感じ取れる
それはそれは
共演しているどこぞのアイドル達が呑み込まれてしまう程に・・・」
「・・・っ・・」
「ちょっと!僕らのどこが・・・」
「夜天、言わせておきなさい」
「・・・くっ・・」
「まあ、ありがとう
あなたも芸術家肌なのね
楽器か何か始めたら才能が芽生えるかもしれなくてよ?
今度教えて差し上げましょうか?」
「それはどうも
だが、
隣の連れが黙って見ていないのではないかな」
「・・・・・・」
「先程からずっとこちらを威圧してくるのは
気のせいではないだろう?」
「みちる、もうそろそろ失礼しようか・・・」
「ふふっ
ここに来れば退屈しないって言ったの、はるかじゃない?
良かったじゃない、退屈しなくて」
「おーっと・・・
ついに始まりました、ど修羅場パートU!
一人の女性を巡る男の戦いは如何にっ」
「美奈子ちゃんてば、
実況中継じゃないんだから;」
「そうよ、
本気の人をからかってはいけないわ」
「はるかさんってば
意外と焼きもち妬きよね」
「嫉妬の炎がぼーぼーってやつですかね」
「・・・子猫ちゃん達、聞こえているぞ」
「はるかは
いい男とモテる男が嫌いなのよね?」
「なるほど・・・」
「だから、納得するなって」
ピンポーン
「ちょっと
また誰か来たわよ」
「月野さん、
まだ今日は誰か来る予定があるのですか?」
「おかしいなあ・・・
何も聞いてないんだけど」
「これ以上増えたらリビングに入らないんじゃない?」
「とりあえず見て来るわ」
ガチャ
「はーい」
「いやーどうもどうも
五代潤の美味しんぼう万歳です!
お宅の夕ご飯取材させてください」
「はい??
いえ、あのー・・・」
「夕ご飯食べちゃいました?
メニューは?」
「・・・宅配ピザ」
「ピザ!こりゃまた結構
ご馳走になりまーす!」
「えっあの
・・・ちょーっと待っててくださいよっ」
バタン
「・・・どっどうしよう、みんな;」
「テレビ局か・・」
「少し困ったわね」
「わたし達が夜
女の子の家でテレビに映ったら大騒ぎですよ?」
「スリーライツ隠された夜の素顔
・・とかなんとかワイドショーで言われるかも」
「ともかくさ、
隠れてやり過ごそうぜ」
「うん!そうしようっ
美奈子ちゃん、後はまかせたよ!
入り口で時間稼いでねっ」
「ええっあたしが?!」
「よーし、みんな一斉にー
・・・隠れろーーーっっ!」
号令と共に散り散りになる
家中を使った盛大なかくれんぼが始まった
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