「一体どんなヤツなんだろう、海王みちるって
天才バイオリニストとか書いてあったけどさ

・・・何かヤだなあ
知らない人とジョイントだなんて
ぼくらだけじゃだめなの?」

「より人を集める為の、ただの演出でしょう
気にすることはないですよ
私たちは私達の演奏をすればいいんです
プリンセスだけのために」


 プリンセスだけのために か

 そう、
 オレ達はただやみくもに歌っているわけじゃない
 たった一人のあの方を探し出す為に
 こうやって声を張り上げているんだ


 そして、セーラーギャラクシアの魔の手から
 何としても銀河を守らなければいけない

 この星に降り立った時に決めたんだ
 希望の光を必ず見つけ出すと
 その為ならアイドルにだって高校生にだって
 ・・・少年にだってなってやる


 希望の・・・光

 不思議だ
 それを考える時
 いつもなぜだかおだんごの顔が思い浮かぶ
 初めてすれ違ったあの瞬間から
 なぜか気になって仕方なくて・・・

 オレは、彼女から何を感じ取っているんだ?
 あいつの星の輝きは、他の人達とは違う
 毎日近くにいるとよりそう感じてしまう
 とても温かくて、優しくて
 傍にいるとほっとする

 彼女は 特別なんだ

 一体何者なんだろう・・・



「星野、
どうしたのですか?」

 ぼうっとしている様子を
 訝しげに大気が覗き込んでくる


「・・・!!
なんでもないよ」

「最近星野やけに張り切ってるよね
学校でも部活なんか入ったりさ
前の席の女にやけに絡んだり

・・・どうしたの?
辺境の地の人間となんか
仲良くする必要もないでしょう?」


「・・・学生らしく振舞っている方が
正体もバレにくいだろ?
ただのカモフラージュだよ」

 適当な理由をつけて誤魔化した

 ・・・そういえば今日のコンサート
 チケットが手に入ったからみんなで観に来る
 とか言ってたよな

 あいつ・・・
 オレ達の演奏を聴いたことが無いなんて・・・
 今を時めく大人気アイドルグループだぜ?
 本当に、変わったヤツ


 ・・・仕方ないな
 今日くらいおまえのために演奏してやるよ
 特別だぞ?おだんご

 聞いてくれる人が目の前にいる
 そう考えたら体の奥から力がみなぎってきた


「さあ、そろそろリハーサルの時間だ
行こう!」








「あーっいたっっ
会長!こっちでーーす」

 人込みの中 声をかけられ振り返る
 見覚えのある3人と、先日校門の前で見かけた
 他校の女生徒がこちらに駆け寄って来た

 ・・・うさぎはまだ来ていない様だな


「時間通りですね
さっすが会長!」

「・・・っ・・」

 明るい声で笑いながら背中を叩いてきた
 この女は・・何かに付けて馴れ馴れしくしてくる
 一体何なのだ


「あ、でも
どうして日曜なのに制服着てるんですか?」

「・・・少し生徒会の雑用があってな
学校からそのまま向かって来たのだが」

「部活でもないのに日曜に学校ですか」

「生徒会の職務も大変ですね、お疲れ様です」



「あの・・・」

 黒髪の少女がタイミングを見計らいつつ
 躊躇いがちに話しかけてきた


「あたし、TA女学院高等部一年の火野レイと言います
会長にお会いできるのを楽しみにしてました」

「ああ、・・・こちらこそよろしく」

 普通に会話をしているとつい忘れてしまいそうだが・・・
 一見普通の女子高生に見えても彼女らはセーラー戦士なのだ
 油断はするべきではない

 少し警戒しつつ彼女らの様子を伺う



「ねえ、もうすぐ始まっちゃうわよ」

「もう集合時間はとっくに過ぎてるのに・・・」

「やっぱ現地集合はまずかったかなあ?」

「結局いっつもうさぎが最後なのよね
何やってるんだか」


「バス乗り間違えて
全然見当違いのところに行っちゃった とか?」

「ありうるわ・・・」

「まさか、もう高校生なんだし
いくらなんでも・・・」

「あなどれないわよ
常人じゃ考えられないような事
平気でしでかすんだから!
・・・ねえ、
もうそろそろ時間だし行きましょうよ」

「でも、うさぎちゃんも楽しみにしていたみたいだし、
もうちょっと待ってあげても・・・」

「別に待たなくていいのよっうさぎなんて
約束の時間に間に合わなかった自分が悪いんじゃない
それに、なんだかんだとのろまなくせに
いっつもちゃっかりしてるんだから
抜け駆けばっかりしてさ

ファッションデザイナーとこっそり仲良くなって
自分だけウエディングドレスのデザインなんか
して貰ってた事だってあったでしょ?」


「そういえば・・・
まもるさんがいるのに
はるかさんにまで猛アタックしていた事もあったわ」

「確かに・・・
元基さんの部屋にご飯作りに行った時も
お手伝いするとか言って付いて来たのに
結局何もしないでのんびりしていたんだよな」

「言われて見れば・・・
この前もスリーライツには興味ないとか言っていたのに
知らないうちに星野さんと仲良くなっていたりしたわね」


「うさぎちゃんたら、いつも心配かけさせておいて・・・」


「ほらね?
例えコンサートに遅れて観れなくても
全然かわいそうじゃないのよっ」

「まあ、たまにはいい薬かもなあ・・」

「なんだかんだと
最後にいっつも一番おいしい所を持っていかれるのよね」

「・・・フォローの余地も無いわね」

「今回も遅刻しておいて図々しく楽屋なんかに遊びに行ってたら
今度こそ折檻してやるんだからっ」



「・・・あ、すみません会長
あたし達だけで盛り上がっちゃって」

 無言で会話に耳を傾けていたら
 退屈していると思われたのか心配そうに声を掛けられた



「いや、・・・気にしなくて良い」

 実際、新鮮な光景だった
 わたしの知らない彼女の様子を聞かされて
 少し得をした気すら感じる

 彼女らは文句を言っているようで
 誰一人うさぎを疎ましくは思っていない
 特に、このレイと言う少女は
 一見きつい様でいて一番彼女を知っている

 これが、あいつの仲間達か

 彼女らもわたしと同じなのだろう
 うさぎの行動に振り回されつつも
 その温かさに触れて癒されているのだ


「月野さんは・・・君たち全員に愛されているのだな
幸せな事だ」

「・・・・・・」

 彼女らの間でしばし沈黙が走る

 そのまま4人で目を見合わせると
 ふっと柔らかい笑みがこちらに向けられた


「あたし達の、大事な仲間ですから」

「何だかんだ言っても憎めない子なんですよ」

「ほっとけないっていうか
つい構っちゃうのよね」

「大体ドジすぎて怒る気も失せちゃうのよ!」


「仲間か・・・」

 誰からも愛される輝きを持っている
 それが彼女の一番の魅力
 ここにいる全員がそれに魅了されているのか

 だが
 会話を聞いていて一つ分かった事がある

 その魅力を最大限に引き出しているのは彼女らなのだ
 ずっと仲間に囲まれて愛されてきたという事実
 それが力に変わっていく

 うさぎが笑顔でいられるのはそれのおかげか
 おまえは、本当に幸せな奴だな


「確かに
彼女はいつも何かやらかすから見ていて飽きない」

「飽きないというか
いつ何をしでかすか分からないから
気になって仕方ないんですよ」

「ホントに
一瞬でも目が離せなくて困った子よね」

「本当はいい子なんですよ?本当は;」

「会長も気をつけないと
いつの間にかあの子のペースに巻き込まれて
逃げられなくなっちゃいますよっ」


「はははっ
・・・せいぜい気をつけなくてはな」

 おそらく、それは既に手遅れなのだろうが

 ・・・不思議だな
 まさかセーラー戦士達とこうして
 和やかに会話をする日が来るとは

 無理矢理約束を取り付けられて
 まんまと罠にはまった気もしていたが
 中々に楽しい時間を過ごしている自分がいる


 そうなのだ
 この時代には我々ブラックムーンはまだ存在していない
 現時点では彼女らと敵同士ですら無いのだ
 もし遠い未来に戦う事になってしまうとしても
 今、ほんの一時だけでもこのままで良い気がする

 そんな事を考えてしまうとは
 わたしもすっかり生温い平和に馴染んでしまったのだろうか?



「さすがに、もうそろそろ時間だぜ」

「本当に来なかったわね」

「まあ、ギリギリまで待ったんだし
せっかくのチケットを有効に活用しないとね」


「よし!先に行っちゃおうかっ」

「おー!!!」

 威勢の良い声が辺りに響き渡る

 ・・仕方ないな
 今日一日くらい彼女らに付き合ってやるか






「ああもうっ
あたしってば・・どうしていつもこうなの?」

 居眠りをしていて乗り過ごしたのか
 ・・・始めから全く違うバスに乗っていたのかは分からないけど
 はたと気がついてバス停へ降りたら
 そこは山の中だった・・・

 急いで反対のバスに乗って引き返してきたけど
 やっと辿り着いた時には時既に遅しで・・・

 目の前の野外ホールは明らかに撤収作業が進んでいるように見える
 お客さんも、誰もいない


「そんなあ・・・」

 呆然としたままその場に崩れ落ちた

 さすがに・・・
 ここまで来ると自分のドジさにほとほと嫌気がさしてくる


「あう・・・聞きたかったのにっ
みんなと一緒に、コンサート・・・」




「おだんご、」

 がっくりと肩を落としている背後から		
 落ち着いた低い声があたしを呼ぶ



「・・・はるかさん」


「何をしていたんだ?遅いぞ
もうとっくに・・・」

「はーるーかーさーんっっ」


「・・・っ!・・ど うした?」

 あたしの迫り来る様子に逃げ腰で後退していく
 その腕に飛びついた


「・・・終わっちゃったのね」

「ああ・・」


「ホントに?アンコールも??」

「まあ な・・」

 たじろぎながらあたしの返答に答えてくる

 知っている人に会えてほっとした途端
 悔しくて目から涙がどんどん溢れ出てきた



「ううう・・・あのねっ

あたしっ道に迷ってえええっっ
楽しみにしてたのにいっ」


「それは、残念だったな;」

 頭を撫でてなだめられる



「なあ、これからみちるの楽屋に行くんだけど

・・・一緒に行くかい?」

 楽屋?それって・・・
 みちるさんにも、もしかしてライツにも会えるのかな
 せっかくここまで来て、帰るだけなんて嫌だ

 涙を溜めた目ではるかさんを見上げた


「・・・行くっ」




コンコン

「どうぞ、空いてるわ」

 部屋の中から声がかかる
 ドアを開けると
 さっきまで一緒のステージで同じひと時を過ごしていた相手が
 椅子にもたれて体を休めながら耳元の飾りを外していた

 鏡ごしに目線が合う


「あら、どうしたの?」

「ご挨拶がてら、お話でもと」

ぱたんと
ドアが閉まる音が後ろで響いた



「どうも、お疲れ様でした」

「お疲れ様
良かったわよ、あなたたち」

「みちるさんこそ、素敵でしたよ」

「そう?ありがとう」


「・・・・・・」

 海王みちる・・・

 一緒に演奏している時
 彼女から不思議なシンパシーを感じ取った

 バイオリンの音色に乗って
 オレ達の想いが遙か空の向こうまで飛んで行ったんだ

 ・・・あの方へのメッセージを感じ取ったのか?
 おだんご程ではないが
 彼女も力強い星の輝きを持っているようだ

 一体何者なんだ・・・



「・・・オレ、
ホントはみちるさんのファンなんですよ」

「あなたが?
とてもクラシックを聞くようには見えないけど

・・・いいわ、ありがと
でも、ファンの子達にはナイショよ?
何されるか分からないもの」

 大人の落ち着いた雰囲気を残しつつ少し無邪気に微笑んだ


「不思議な人だな、あなたは」


「そういうあなたは、
・・・どんな人なのかしら?」

「・・・・・・」

 言葉通り捉えるべきか

 いや
 やはり彼女は何かを感じ取っている・・



「ただの、ファンの一人ですよ」

 そっと後ろから近づき
 肩ごしに彼女を覗き込んだ


「オレ、あなたの事をもっとよく知りたいな」

「あらそう?
なら
着替えも手伝ってくださるのかしら?」

「何なりと・・・」




「入るよ、みちる
おだんごが来てるんだけど

・・・・!!」

「みちるさーんっお邪魔しまーす!!

あれっ・・・星野?」

「おだんご?!」

 意外な来訪者を確認して
 慌ててみちるさんとの距離を取った



「なんだ、おまえみちるさんと知り合いなのかよ

・・・へえ、いい男連れてんじゃん?」

 おだんごと一緒に入ってきた奴が
 ずっとこっちを威圧してきている


「失礼ねっ
はるかさんは・・・」
「わたしの 大切な人よ

・・・ねえ、はるか?」


 なるほど ね
 それでこの目つきか


「ふーん・・・人が悪いな、みちるさんも
何も教えてくれないんだから」

「・・・・・・」

「星野光です、よろしく」

 表面だけでも良く接しようと
 じっと無言で睨んでくる相手の前に手を差し出した


「天王はるかだ・・・」

「・・・っ!!」

 開いた手が一瞬で拳に変わり
 こっちに向かってくる
 それをしっかりと受け止め、押し返してやった


「・・・ご挨拶だな」

「出て行け・・」

 ギリギリとぶつかり合うお互いの感情

 大人気ない態度を見せてくれちゃって
 余裕のない奴・・・



「ちょっと星野っっやめなよ!!」

 オレ達の間におだんごが割って入ってくる


「おいおい、おだんご
・・・オレを止めるのかよ」

「あんたが先に
みちるさんにちょっかい出したんでしょっ」

 何だよそれ
 手を出してきたのはこいつが先なのに


「・・・はいはい
それじゃあ邪魔者はそろそろ退散する事にするよ

お疲れ様でした」

 みちるさんに軽く頭を下げると
 こっちに少し目を向けて部屋から出て行った



「何だ、あいつは・・・」

「はるか、大人気ないわよ」

「みちるっ
・・・君も君だよ」


「あのっはるかさん・・・ごめんね
あいつ失礼なところもあるけど、根は良いやつなんだ

許してあげて?」

「おだんご・・・」


「はるかは人見知りするのよ、気にしないでね
それよりわたし達は良いから・・・行ってあげなさい」

「うん・・・それじゃあ
またくるね」

 少し気が引けたけど星野も気になって
 そのままみちるさんの楽屋を後にした








「天王はるか・・・」

 あいつからも感じた
 力強い星の輝きを

 あいつら・・・一体何者なんだ



「待ちなさいよっ」

「・・・おだんご」

 息を切らしながら駆け寄ってくる
 それが追いつくのを足を止めて待った


「星野っあんたねー」

「・・・色男の方はもういいのか?」


「色男って、はるかさんは・・・」
「あいつさ

天王はるかって奴、・・・おまえの彼氏?」

「・・・はいい??」


「だって、
おまえを『おだんご』って呼ぶ男はオレと
・・・あとは彼氏だけなんだろ?」

「なっ・・何言ってるのよっ

あのね、はるかさんは女の人よ」

「・・・うっそだー」

「本当だってば!」


「おまえ
嘘つくならもうちょっと上手くつけよ?」

「あいたっ」

 馬鹿にしたように笑いながら
 おでこを指でつつかれた


「だから、違うってば

・・・あんたこそ、
あたし達が来なかったら何してたか」

「なっ・・・何もしねーよ」

「なーにうろたえてるのよ
かえって怪しいわよ・・」

 たじろぐ様子をじっと眺めて
 訝しげな眼差しを向けられる


「本当だよっ
ちょっと・・その・・・彼女の輝きが気になっただけで

いや、別に何でもないんだって!」

「嘘つくならもっと上手につけばあ?

まあ、あんたみたいなおこちゃまを
みちるさんが相手にするとは思えないけど」

「おこちゃまで悪かったなっ
大体おまえ・・・
あの二人とどういう関係なわけ?

友達・・とか?」

「・・・気になるの?」

「そういうわけじゃ・・

何かピンと来ないんだよな
おまえの友達って言われてもさ」



「あたしの、大切な人よ」

 ふと 彼女の足が止まった


「大切な人?」

「うん
みちるさんもはるかさんも
あたしにとってかけがえの無い、大切な人

困った時は助けてくれるし
いつもあたし達の事、見守ってくれているの
すごく大切な、仲間なんだよ?」

「仲間・・・か」

 それで話は途切れたから詳しくは聞けなかったけど
 そこまで言うのはきっと・・・
 彼女にとって本当に大切な存在なんだろうな

 なぜだろう
 おまえの周りには不思議な輝きが集まってきているみたいだ
 みんな、知らずに引き付けられているのだろうか



「そういえばさ
おまえ、ちゃんと聞いてたか?」

「・・・何を?」

「何をって
・・・オレ達の演奏だよ!」



「・・・・・・」

「何だよ、その沈黙は」

「えっと、その・・・

ごめんっ
実はバス乗り間違えて山奥に着いちゃって
・・・さっき、着いたの;」

 目の前で手を合わせて必死に謝ってくる


「はあ?
本当に聞いてなかったのかよ!!

・・・せっかくおまえの為に演奏したのに」

「だから、仕方なかったのよう
道に迷っちゃったんだもん」


 なんだよ、それ
 胸の奥が失意でいっぱいになる
 想像以上にへこんでいる自分が、なんだか情けない



「ちゃんと聞いておけよ・・・すねるぞ」

「もう、許してよう
あたしも残念だったんだから」


「アイドルが・・・
一人のファンの為だけに演奏したんだぞ
それがどれだけすごいことか、分かってるのか?」



「は?ファン?
誰が???」

「・・・おまえ意外ここに誰がいるんだよ」

「あっあたし?!
別にファンなんかじゃないわよっ」

「じゃあ何で来たんだよ」

「チケットが偶然手に入ったからよっ

大体、頼んでもいないのにおまえの為に演奏したなんて
言われたって困るじゃない」


「おまえ、・・・もっと素直になれよ?」

「あんたこそ・・・その自意識過剰な性格
直したほうがいいわよ

べーだ!!」

「なっ・・・何だよその態度
ちょっと、待てよっ」

「待たないわよっあんたなんて」

 少し怒ったような顔をしてそっぽを向くと
 そのままスタスタと歩き出した


 全く・・・
 どうしてこんなに彼女を構ってしまいたくなるのだろう

 もしかして・・・いつの間にかオレも
 おまえの輝きに引き付けられているのかもな
 ・・・どうかしてるぜ


「おーい、おだんごっ
待てってば」

 その金色のしっぽを捕まえてやる
 意気込んで彼女の後を追った








「あんなやつ・・・楽屋に入れない方がいい」

 少し不機嫌そうな声が
 背中ごしにぼそっと囁いてきた


「あら、焼いてくれてるの?」

「そういうわけじゃないけど・・・

大体、みちるもからかい過ぎだろ
あんなガキにちょっかい出すなんてさ」


「ふふっ
だって、かわいいじゃない?

焼いてくれる あなたがね」

「何だよ、それ・・・」



「こっち、向いて良いわよ」

 私服に着替え待っていたはるかに声を掛ける

 くるりと椅子が回転しこちらを向いた彼女の表情は
 真剣な眼差しに変化していた



「あいつら、何者なんだ」

「・・・・・・」

 はるかの言わんとしている事は
 口に出さなくても分かっている



「ただの、アイドルではなさそうね」

 彼らから溢れ出る 不思議なエナジー
 同じステージで演奏している時
 より強くそれを感じ取る事が出来た

 お互いのハーモニーが共鳴してとても強い波動となり
 大きな波になって押し寄せてきた

 あれは・・・愛する人に伝えるメッセージ?
 彼らは、誰かに何かを必死で伝えようとしている


「ここ最近
また風が騒ぎ始めてきた」

 その言葉に、静かに頷く


「ええ、海も荒れ始めているわ」


「何かがもう既に、動き始めている」


 ・・・予感がする
 今までにない、大きな荒波が押し寄せて来ているのを


「彼ら、誰かを探しているみたい
共演していてそう感じたわ」

「少し調べる必要がありそうな奴らだな」

「そうね


・・・!!」

「!!」

 海が、急激に荒くなる
 ビリビリとした肌が何かを感じ取った



「はるか・・・」

「ああ、
感じるこの波動は・・・」

「すぐ近くで、何かが起こっている・・・」

 お互いの目が合う
 するべき事は、言わなくても分かりきっている

 戦い続ける事
 それが二人の宿命ならば



「行きましょう
わたし達の使命の為に」