柔らかいぬくもりがわたしを包み込む
 けだるい体がそれに引きずられて動かない・・


「・・・っ・・」




 指先がぴくりと振れた

 とろけるような甘ったるい眠りから
 少しずつ意識が浮かび上がって目が開く


 寝ぼけている体はまだ動かせないが頭は妙に覚めていた



「・・・セレニティ」

 耳元から静かな寝息が聞こえる
 すぐ横でまだ眠っている彼女に視線を向けた


「・・・ん・・」

 優しい吐息が顔にかかる
 その柔らかな胸の中に頭を寄せて再び目を閉じた



 ・・・彼女の優しい心臓の鼓動が伝わってくる

 とくん とくんと
 穏やかに刻む一定のリズムが
 わたしをまどろみの世界へと誘う

 とても心地よい響き・・
 子守唄を聞いているようだ

 しばらくそれに酔いしれて甘美な誘惑に浸っていた



「・・・・・ふふっ・・」

 胸に響いてくる笑い声
 起きたのか?

 見上げて顔を覗き込んだ


「セレニティ?」

「・・ん・・・むにゃ・・・」


「・・・寝言か」

 にやけている寝顔はあどけなくて愛らしい
 幸せな夢を見ているようだ

 どんな夢を見ているのだろう・・


「こうしているとただの少女だな」

 絶えず色々な表情をわたしに見せてくれる
 これまで数え切れないくらいの彼女を見守ってきたが
 まだわたしの知らない一面をたくさん隠し持っているのだろうな

 いつの間にかそれをひとつずつ探って行くのが
 密かな楽しみになっていた


 時には怒らせたり泣かせたりしてしまうが
 その表情ですら愛おしい

 こうして
 わたしの隣で寝息を立てている姿はいつも穏やかだ


「・・・・・・」

 それをじっくりと眺めながら先程の一時を思い返した
 まだ心が余韻に浸っている

 わたしに愛されたいと流してくれた涙
 愛の言葉をなぞった唇の動き

 あの幻想が頭の中を絶えず繰り返され駆け巡る


 改めて現実だったのか本人にしっかりと確認したい
 だが多分、彼女に問いただしても全く覚えてはいないだろう
 向こうから見ればその程度の事にこれほどまでに執着している


「初めてだ・・・こんな事は」

 おまえに触れて感じる事すべて
 今までのそれと違う

 わたしの想いに応えて欲しいとつい願ってしまう
 これ程までに他人の心が知りたいと思っている事自体
 自分の中で驚くべき変化だった


 彼女のぬくもりに惑わされて
 冷静さを欠いてしまう事も増えてきた

 この油断がいつかきっと
 己の身を滅ぼす事になってしまう気すらする


 ・・・だがそんな先の事など今はどうでも良い
 考える必要もない



「おまえは今・・誰と会っているのだ」

 いくらわたしでも夢の中までは侵せない
 彼女の中でわたしが唯一踏み込めない場所なのかもしれない

 そしてそこがおまえの真の安らぎの場なのだろうか


 最初はただ傍にいてくれるだけで良いと思っていた
 触れられる事自体が奇跡にすら感じた
 だが、それが現実になると更に欲求が増していく
 こうして、夢の中で隣にいるであろう人物にすら嫉妬してしまう

 わたしだけを見ていて欲しい・・

 そんな所にいつまでいる気だ
 ・・・早くこちらに戻ってこい


 そう願う反面
 わたしの腕の中で安らかに眠る
 その穏やかな寝顔をずっと見ていたいとも思ってしまう

 結局おまえが戻ってきたいと思う時までただそっと
 その顔を見届けているばかりだ



「眠りの中でくらい解放されたいのだろうな

・・・好きなだけ居れば良い」

 安らぎを妨げないようにそっと呟いた

 柔らかな頬に優しく触れると
 その指先に反応するかのように口もとが緩む

 ふふっと笑い声が漏れて言葉が発せられた




「もう・・・・・・

・・・食べられない・・・」


「・・・・・・・・」

 衝撃的な寝言だった



 なんだそれは
 ・・・食べられないだと?





「・・・くっ・・くく・・・・」

 声を押し殺して笑う
 まさか・・食べ物の夢だったとは
 検討もつかなかった

 なんてくだらない・・
 能天気にも程がある


 何もかもわたしの考えすぎだった 
 勝手に想像を膨らませていた自分を馬鹿らしくさえ感じた

 いつもおまえはわたしの心配を余所に
 おもしろい程こちらの期待を裏切る
 そのあどけなさはいつまでも変わらない

 それに触れると安心する




「・・・・・ん・・」

 寝返りを打ち体がこちらを向いた


 静かに青い瞳が開く



「・・・おかえり」



「ふにゃ?

・・・ただいま??」

 つられる彼女の寝ぼけ眼に笑いかけた


「よく寝ていたな」

「ん・・・

・・起きてたの?」


「少し前にな
お前のお気楽な寝顔をずっと鑑賞していた」

「や・・やだっ
起こしてよっっ」


「起こすのは悪いと思ってな

・・・随分とおいしそうな夢を見ていたようだし」

「・・・っ!・・
何で・・分かるの?」


「寝言が出ていたぞ
もう食べられない と」

「えっ・・なっ・・・・・」

 少し恥じた風を見せて慌てる
 その様子が愛らしくてたまらない


「何を食べていた?」



「・・・言ったら笑うんでしょ」

「くくっ・・そうだな」

「んむむむ・・・
・・言う前から笑わないでよっ」

 少し膨れ顔を見せたが
 それよりも語りたくて仕方がないという瞳が
 こちらにキラキラと向けられてきた


「あのね
おっっきいケーキとチョコパフェ食べてたのよ!
それが食べても食べても減らないの

幸せだった〜☆」

 うっとりと酔いしれる姿
 どうして食べ物の事だけでこれ程までに幸せな顔ができるのか
 ここまでくるともはや芸だ


「相変わらず食べることには貪欲な女だな」

「何よっ
甘いものは女の子の心の栄養源なのよ!」

 その寝顔にわたしがどれだけ思い悩んだか・・分からないだろ



「・・・何も考えていない
めでたい頭だ」

「ちょっと・・・聞こえてるわよっ
なんで夢の事なのにこんなにつっこまれないといけないのよ

デマンドだって見るでしょ?夢くらい」


「そのようなもの・・・見ない」

 夢など・・見たことは無かった
 正確にはもう過去形だ


 最近、生温いぬくもりに惑わされて
 甘美な眠りに身を委ねる事が増えてきた

 内容はほとんど覚えていなくとも
 覚醒した後も胸の奥に心地よい感覚が微かに残っている
 ついそれにずっと浸っていたいと願ってしまう

 そんな不思議な気持ちを感じる度
 不覚を取られた気分にさせられる


 こんなこと・・・話してやるものか



「・・・嘘だあ」

 腑に落ちないとでも言いたそうなややこしい顔を向けられた


「みんながみんな
おまえみたいに能天気でたまるか」

「・・・!?
悪かったわねっ能天気で
・・・どうせ何も考えてないお気楽頭よ」


「・・・・・・」

 むくれる彼女の体を引き寄せて自分の腕に収めた



「デマンド・・・?」


「おまえは・・・それで良い」

 わたしの隣で屈託の無い笑顔を見せ続けているだけで良いのだ


 何も考えなくて良い
 心も体もすべて預けて休むことが出来る
 そんな安らぎの場がずっと欲しかった


「・・ん・・・

そうだよね」

 腕の中から声が響いてきた
 すべてを伝えなくても察してくれたようだ





「・・・不思議だな」

「え?」


「20世紀と30世紀
違う時を生きてきた二人が
こうして今同じ時を共有している

何事も無く普通に過ごしていたのなら会う事もなかっただろうに」

「言われて見ると確かに・・
あのまま平和な世界が続いていたら何も知らないままだった
こんな場所があるのだということも
・・・あなたの存在も」


 ・・・知って良かったか?


 そう尋ねたかったが止めておいた

 今更そんなこと聞いた所でどうなるわけでもない
 愚問極まりない


「出会うべくして出会ったのだ
そう思えばいい」


「・・・うん

でも、ここは何だか不思議な所ね
地球にいた頃は毎日学校に行ったり
放課後はみんなと遊んだりして
一日があっという間に慌しく過ぎていったけど

ここでは時がゆっくりとすすんでいく
すごく静かで、時間が止まっているみたいだよ」



「退屈か?」

「・・・・?」


「外界との交流もほとんどない
・・おまえの世界にあったような娯楽もここにはないしな」



「・・・そんなこと・・ないよ?」

 すねているとでも思われたのか
 体を起こしてこちらを心配そうに覗き込んできた



 望めば簡単に時すら超えて地球に降りる事も可能だが
 そのようなこと・・・わたしが教えてやるはずがない

 いや、自分も連れ去られてきたわけだから
 それが出来る事に気づいていないわけがない
 だがそれにはいつも触れてこない

 わたしに遠慮しているのか?



「・・・・・・」

「・・・・・・」

 互いに見つめ合ったまま沈黙が続く



 少し固くなった空気を誤魔化すように
 いきなりわざとらしいくらい明るい声で喋り出した


「ここだって住めば都かもよ?
やることだってあるんだから
退屈だなんて言ってらんないわよ!

まだこのお城の中の探検だって終わってないしさ
これだけ広いと楽しみい

ねえ、デマンドも一緒に付き合ってよ」

「・・・・・・」

 その明らかに気を遣った問いかけに
 どうこたえれば良いのだ・・・

 難しい事をするやつめ



「やりたければ一人でやれ」

「何よ・・そっけないわね」

 少し不満げな眼差しがこちらを覗き込む


「・・・・・・」

 そのまま固まったように凝視し続けてきた


「どうした?」


「ねえ・・
デマンドはずっとここで暮らしているんでしょ?」

「・・ああ」


「寂しく・・・ないの?」

「何がだ」

「だって・・ここはすごく静かで暗くて
少し・・・怖い

もっとさ、こう明かりをいーっぱいつけたら
すごく明るくなって良いと思うんだけどっ」

 ・・・こいつはここをどうしたいと思っているのだ
 そんな明るい雰囲気にされてたまるか


「わたしはもう慣れた
光のない世界も孤独の世界も

人は所詮一人で死に行くものだ
そのようなことにいちいち恐れてなどいられるか」


「・・・・・・・

そんな考え悲しいよ
孤独に慣れたなんて言わないで」

 少し寂しそうな
 哀れむような眼差しを向けられた

 その瞳に見下ろされるのは久しぶりだ


 ・・・慣れていたと思っていた
 孤独も、闇も、所詮こんなものだと思っていたのに

 その考えをおまえが変えた
 温かいぬくもりが 穏やかな笑顔が
 わたしの奥の古い記憶を思い起こさせてくれた



 ふっと、彼女がわたしに微笑んだ
 わたしの呑み込んだ言葉を代弁するように口を開く


「デマンドはもう一人じゃないよ

これからはあたしが傍にいるじゃない」


「・・・っ・・」

 本当に・・・その強さはどこから沸いてくるのだ
 どこまでも明るく照らす光がわたしの心の闇を消し去っていく

 優しい笑顔に胸の奥が熱くなる


「セレニティ

キスが・・欲しい」


「・・・・・」

 それに言葉では答えずゆっくりと瞳が近づいてきた





 そっと
 柔らかく重なってくるぬくもりが少しずつ心の奥へ浸透していく

 そこから愛おしさが止め処なく込み上げてくる



「・・・ん・・」

「・・・・・っ・・・」



 暫く触れ合って静かに離れた
 ゆっくりと目が開く


 こちらを熱く見つめる澄んだ瞳と視線が合った




「・・・好きだ」

 自然と口からその言葉が出た


「・・・!?」

 それに反応して予想以上に驚いた風を見せる



「・・・ふふふっ
やだもう何よっ
照れちゃうじゃない!」

 その表情がすぐに崩れて笑い顔に変わった
 声を出して無邪気に笑いながら肩を叩いてくる


「いつも言っているだろう
何だ今更」

「違うよ」

「何が違う?」


「好きと愛してるは感じ方が全然違う

なんだかくすぐったいよ」

 何がそんなにおもしろいのか
 わたしを眺めてくすくすと笑っている
 その笑い声が耳に心地よく響く


「可笑しな奴だな」

 こちらもつられて笑みが零れた



「あーもう
デマンドってたまにお茶目よね」

 そんな事をした覚えは無いのだが


 ・・・まあ良い





「何と・・呼べばいい?」

 ふと思い出して尋ねた


「何が?」


「おまえの呼び方だ

どう呼んで欲しい?・・うさぎか?」


「え・・ああ
・・そうねえ

うーーーん・・・」

 少し悩む風を見せる


「んー・・・・・

いいよ、セレニティのままで」

 ・・・意外な答えだった


「それで良いのか?」

「うん、だって・・・
デマンドから今更うさぎなんて呼ばれても落ち着かないよ

何か変な感じ」


「・・・おまえがそれで良いならそうするが」



「・・・・・・

うん、今のままでいい」

 急に真面目な面持ちに変わった


「その名前はたまに呼んでくれればそれでいいの

そう、呼ばれていた時もあったって
・・・忘れないように」

 その横顔は凛としていて
 強い決意の感じられる眼差しだった

 まるで何かと決別するような・・・
 そこに敢えて触れるのは止めておこう


 彼女の耳についたピアスにそっと触れる


「デマンド・・・なあに?」

「・・・・・」

 その問いかけに無言のままじっと瞳を見つめた


「・・・??」

 そんなわたしの行動に少し戸惑いを見せる

 耳元を飾る漆黒の石は
 彼女にとってずっしりと重いものなのだろう


 無理に連れ去り力尽くで我が物にしてしまったが
 最後は彼女自身がここに留まることを選んでくれたのだ

 生か死か

 選択肢は極端ではあったが最終的にわたしを選んだ
 それは事実だ

 少しは想ってくれていると自惚れても良いだろうか



 ふっと笑むと
 彼女もそんなわたしの変化に不思議そうにしながら
 にこっと愛想笑いを向けた


「どしたの?」

「いや、おまえと話をしていると色々とおもしろい」

「・・・そんなにおもしろい話してたっけ?」


「たわいの無い会話は中々に和む
わたしはずっとこの星がすべてだった
だからおまえの20世紀の話もすべて新鮮でおもしろい

その、夢で食べていたという『パフェ』というものも興味がある」

「え・・あ・・・そう?
なら良かった」

 照れ隠しに頭をかきながら下を向いた
 柔らかい笑みがそのまま言葉を続ける


「パフェにはね
大切な思い出があるんだよ

だから多分夢に出てきたんだろうなあ」


 ・・・聞いて良いのか分からなかったが
 気になったから尋ねた


「誰とのだ?」


「えっ?
ううん、あたしじゃないのよ」

「・・・?」


「もう、結構前の事だけど
・・・親友の子の大事な思い出なの

きっと、いつまでも忘れられない大切な・・・」

 横顔が遠い目で空を眺める
 よく分からないが彼女にとって忘れ難い事らしい


「そうか
食べてみたいな・・・そのパフェというものを」

 何気なく相づちを打つ




「・・・・・・あーーーーーっっ!!」

「・・・!!

どうした?」

 いきなり大きな声を出されて
 不覚にも体がびくっと反応してしまった



「思い出した!!

そうよっデマンドも食べてたのよ」

「・・・・・??」


「あなたと食べてたの、夢の中で一緒に

チョコレートパフェ!」

 満面の笑みがこちらに向けられる



 目を見開いた


 今、信じられない言葉を聞いた気がする

 わたしが夢の中に その隣にいたと?


「・・・・・・・・」

「・・どしたの?」

 呆けている顔をひょいと覗き込まれた


「・・・っ!・・」

 無邪気な瞳を直視出来ず
 思わず目を逸らす


「デマンド?」

 その言葉がどれだけ心に響いたか・・分かっているのか


「・・・・・・」

「??
・・・変なの

ねえ、なんだかお腹空いちゃったよ」

 服を着ようとベッドから降りる



 その手をつかんで止めた


「・・・っ!

・・なあに?」


「そんなもの・・・後でいいだろう」

「後でいいって・・お腹ぺこぺこ
ちょっと

・・・!!」

 強い力でたじろぐ体をベッドに押し戻す



「ここに・・・隣にいろ」

「・・・え?」

 戸惑う瞳を見下ろした


 そのまま柔らかい身体をきつく抱き締める



「今日はこのまま、こうしてずっと一緒にいたい

・・・離れていたくない」

 この生々しいぬくもりがどこまでもわたしを誘惑してくる
 心の深い部分まで侵食されて・・・逃れられない

 まるで麻薬だ


 どれだけ求めても足りない
 片時も離れていられない



「デマンド・・・っ

だ・・・だめよっっ」

 捕らえられた身体が束縛から逃れようと必死に抵抗をしてくる
 少し力を弱めた瞬間に腕をすり抜けて逃げられた


「何だ・・その反応は」

「もうっ・・・ちょっとは休ませてよ

・・・そんな立て続けなんて
体がもたないわよ」

 ・・・どうやら変な意味で捉えたようだ



「何を期待している?」

「は?」


「わたしだって間隔を開けないと持たない
・・・色々とな

期待に応えてやりたいが少し休ませろ」

 ぽかんと口を開けたままの呆れ顔に
 にやっと笑ってやった


「・・・なっ!
べべ別にそんな期待してないわよっ」

 口から出る言葉とは裏腹に顔が耳まで真っ赤になっている
 その様が妙にそそられてついいじわるを言ってしまう


「そんなに良いか?わたしとするのは」

「だからっっ違うってば!!もうっ
・・・はっ離してよ」

「・・・一生離すものか」

 腕を掴んで勢いよくその体をベッドに沈めた



「素直になれば良い・・・」

「・・・っ・・」

 おまえの素直な心の内が聞いてみたい
 そう願うのは我が侭だろうか


「セレニティ 愛している」

「んっ・・・・デマ・・ンド・・・
・・・・・・っ・・


にゃ・・にゃはははっっ

って何するのよ!!
くすぐらないでっ」


「・・・くっ・・くく・・・はははっ

おまえをからかっていると本当に退屈しない」

「!!
すぐ人をおもちゃにして・・もう知らないっ」

 そのままそっぽを向いてしまった
 からかい過ぎたか?


「セレニティ・・」

 その背中に声をかける


「・・・何よ」

 ふてくされたながらも返事を返してきてくれる
 その様子がまた可愛らしい



「パフェとはどんなものだ?
教えて欲しい」


「・・・聞きたいの?」

 後ろを向いたまま声が届く


「ああ」

「仕方ないわねっ」

 ぱっと 明るい顔がこちらを振り向いた
 その百面相に込み上げてくる笑みを必死で堪える


「あれはアイスとクリームの芸術よっ
あ、でもかさ増しのコーンフレークは邪道なの
ちゃんと中までクリームとアイスが占領してないとっ
それでね、それでねっ」

 わたしだけに向けられる可愛らしい笑顔

 その愛らしい口から生き生きと説明される様子を
 ゆっくりと眺めることにしよう