珍しく体調が良かったので
 城の中を少し歩いてみた



 あれは・・・デマンド?
 何を見ているの?

 あの光るオブジェは・・・





 あたし?
 ・・・どうして

「・・・デマンド」

「!?

セレニティか・・・」

「それ・・・は?」

 恐る恐る尋ねてみた

「彼女はクリスタルトーキョーの女王
ネオ・クイーンセレニティだ」

「それって・・・」

「そうだ・・・未来のおまえの姿だ
・・・わたしの憧れだった

地球を襲撃したあのとき
姿をあらわすとは夢にも思わなかった
無敵の城に住む決して姿を見せなかった全能の女神
まっすぐな瞳の先に自分がいればとどんなに切望したことか
手に入れたかった
どんな手を使っても」

 ・・・なんてまなざしなの
 鋭くて冷たいだけだと思っていたのに
 その瞳の奥には寂しさが溢れていたのかもしれない

 光も届かない太陽系の端の星で
 誰にも存在を知られず朽ち果ててゆく孤独なプリンス



 ・・・あたしがこの人にできることはあるだろうか?


「デマンド・・・」

「何だ?」

・・・・・・!!」

 気が付いたらあたしからキスをしていた


「・・・あ」

 激しい・・・眩暈
 そのまま意識が遠のき、彼の腕の中に倒れこんだ

「セレニティ!!」