セーラームーン・・・いや、白い月のプリンセス
 ・・・セレニティ
 遂にわたしのものにしてやったぞ

 ワインを片手に
 先ほどまでの余韻を噛み締めながらほくそ笑む


 ・・・だが、その笑みとは裏腹に心の中はなぜか晴れずにいた

 彼女は・・・初めてではなかった
 予想はしていたが・・・あの男か


「・・・っ・・」

 グラスを持つ手に力がこもった
 嫉妬の炎が燃え上がる






 それからというもの毎晩セレニティと強引に体を重ねた
 拒絶する彼女にあらゆる方法で攻め抜いた
 その瞳を支配するために・・・


 ・・・なのになんだ

 変わらずわたしを蔑むその瞳
 何度も叫ぶあの男の名前

 手に入れたはずなのに
 膝まずかせたはずなのに

 わたしが本当に欲しかったのは何なんだ?
 その瞳でもなく体でもなく


 ・・・彼女の心だけだったとでもいうのか

 泣きつかれて寝ているセレニティの頭を優しくなでてみる
 それだけでいいような気すらした


 手が届いてはいけない存在だったのだろうか
 あのホログラムを見ているだけでよかったのかもしれない

 ・・・最初から分不相応な望みだったのだ





 毎晩デマンドはあたしを・・・
 まもちゃんのぬくもりも忘れてしまいそうなくらい彼に抱かれてしまった
 どんなに体を奪われても
 心はまもちゃんのものなのに
 どうして彼はあたしにこんなことを強いるの?



 うとうとする意識の中で
 誰かが優しく頭をなでる

 温かい・・・


 あれは誰だったんだろう?