「虫の息だがまだ生きているか
さすが白い月の戦士達だ」

 ・・・驚いた
 月の戦士の底力には恐れ入る

 この下が地下牢・・・
 邪悪なエナジーがここまで伝わってくる
 息が・・・苦しい


 今銀水晶を使えばあたしは力尽きる
 けど、3人は助けられるかもしれない
 一生この星に閉じ込められるよりは・・・


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・やるなら今しかない!


 「ムーンクリスタルパワー!!」

 あたしの呼びかけに銀水晶が反応した


「・・・!?

よせ!ここでは銀水晶のパワーなどすべて吸収される!
死ぬぞっ」

「構わない!この体が消滅しようとも
みんなは私が守ってみせる!!」


パアアァァァァ


 銀水晶・・・なんという力だ!
 この場所でこれほどまでのパワーを発揮するとは


 お願い銀水晶!
 みんなを・・・地球に・・・


 この期に及んで歯向かうとは・・・

「・・・無駄だ
わたしに敵うものかーーーーっっっ」

「キャアァァァァァァァァァ!!!」

 デマンドの邪視のパワーが白い光を押さえ込んだ!

カラン!

 銀水晶が弾かれて床に落ちた

 そのままエナジーの尽きた体が倒れこむ


「はあ・・・はあ・・・」

 力が・・・抜けていく


「・・・・・・くっ」

 銀水晶・・・もう少し手を伸ばせば・・・

ガッ!

「あうっ!!」

 デマンドがその手を踏み潰す

「・・・よく分かった
セーラー戦士達を今すぐ亡きものにしてこよう
それで未練も切れようぞ」


「!?」

 冷たい瞳の奥に怒りが燃えていた

 ・・・本気だ
 もう・・・あたしの力では・・・


 デマンドが背を向け地下牢に向かう

カツ・・カツ

「・・・って・・・・・・待って!」

 その足が・・止まった


「あたし・・・残ります・・・だから」

「だから?」

 冷酷な瞳が振り返る

「お願い・・・・・・みんなを助けてっ」

「それだけではだめだ
・・・きちんと最後まで言うんだな」

 ・・・!?

 最後までって・・・そんな・・・・・・

 鋭い瞳があたしをずっと見下ろしていた



 彼はあたしを屈服させて好きに弄ぼうとしている
 ・・・それに従うと誓えと言うの?


 もう みんなに会えなくなるのかな
 それを考えると心の奥が締め付けられる
 そんなの嫌だ・・・でも


 ・・・それでもみんなを助けたい
 悔しさを呑み込んで喉の奥から声を絞り出した


「私・・あなたのものになります・・・だからお願い・・・します」


「・・・・・・」

 無言のまま冷笑がこちらに向けられた


「良いだろう・・・
その言葉 忘れるな」


 ククク
 ついに落ちたぞ!
 白い月のプリンセスが我が力の前にひれ伏した!!
 もう離すものか

 ・・・おまえはわたしのものだ




サアァァァァァ

 黒い光と共に3人が消えていく

「戦士達は地球に戻した
確認するがいい」

 目の前に写る地球のビジョン
 3人がクリスタルパレスの外に倒れている

 よかった・・・
 マーズ
 マーキュリー
 ジュピター
 みんな


 ・・・まもちゃん



 黒い闇に呑み込まれるように意識が遠のいていった

「・・・部屋に戻ろうか、セーラームーン」


 腕にデマンドの冷たい指が食い込んでいく・・・