「これは・・・一体」


ククク


 地の底から轟く邪悪な笑い声
 空気がビリビリする

「誰っ!誰なの!?」

わたしはデス ファントム
あの青い星 地球をかけた戦いに敗れ
この暗く冷たい暗黒の星に追いやられた孤独な王

「デス・・ファントム」

「・・・一体どこからこの声は聞こえてくるの?」

 周りにこだまする低い声
 主が見当たらない

「・・・まさか・・・」

 足元に目を落とす


何百年という時を経て意志はこの星ネメシスと同化し一体となった

わたしはこの星自身だ


「この星が・・・すべての元凶」

「何百年ものあいだにネメシスにしみついた
ファントムの怨念がこの星を動かしている・・・」

 なんて凄まじいマイナスのエネルギー
 ・・・圧倒される

邪黒水晶にあふれた無敵の星
最強の力を手に入れたのだ

この巨大な力があればなんでもできる


「・・・うさぎちゃん!」

 うずくまっている彼女を闇が包み込む


白い月のプリンセスよ

苦しいだろう
その心の闇 我が吸収する

邪黒水晶で増幅させた闇のパワー
デマンドは消失してしまったが
お前のその体 貰い受ける

一体化して膨大な暗黒パワーを手に入れ
地球を
いや銀河を支配してやる

ククク


「・・・このままだと体を乗っ取られる」

「うさぎちゃん!目を覚まして!!」


無駄だ
彼女の心は暗黒が支配した

声など届くわけがない


「うさこ!!」








 ・・・誰かが呼んでいる
 ここはどこ?



 分からない

 どこまでも深い闇の中に溶かされていく


 もう・・何も考えたくない



「・・・・・・」


「だめなの・・・?
私達じゃ・・」




「セーラー・・ムーン」

「・・・ちびうさ」


「セーラームーン・・・
みんなの声が聞こえないの?

目を覚まして・・・戻ってきて


ママ!!」







 ・・・・・・光?

 闇に包まれた世界に 光が一筋

 ・・・温かい


 なんだかなつかしい





 何か大事なことを忘れている気がする


 ・・・頭が痛い






 再び意識が闇に包み込まれようとしたその時

 デマンドの最後の言葉がどこからか聞こえてきた







 戻れ 光の世界へ





 ママ!!!







 !!!!


 ちびうさ!!




パリン!!


「!!!」

「邪黒水晶が・・・割れた!!」

「見て!!」

 額に・・・白い月の証
 まぶしい・・・白い光


「・・・みんな」

「うさぎちゃん!」

「セーラームーン!」

「ちびうさ!!

闇の中であなたの・・みんなの温かい声が聞こえたの
色々・・心配かけてごめんね」

 ちびうさを抱きしめる
 あたしの・・・たった一人の大事な娘


「うさこ」

「まもちゃん・・・」

「これを・・」

 銀水晶・・・あの時渡した

 輝く・・・温かい光
 あたしを受け入れてくれるの?


 力が溢れてくる


「まだ・・・終わっていない

デス ファントム!!」


ククク
立ち向かって来るというのか

わたしが少し手を加えるだけでおまえたちなど木っ端微塵だ


「デス ファントム

おまえを封印する!!

ムーンクリスタルパワー メイクアップ!!」