マーズ、マーキュリー、ジュピター…
 確かに3人の反応があった気がした

 なのに一瞬ぷっつり途絶えてしまった

 嫌な予感がする

 迷路のようなブラックムーンの城の中
 どこを歩いても同じところをぐるぐる回っているみたい

 息が苦しい・・・



 ・・・?
 誰かいる・・・話し声がするわ



「我がプリンスはどうした?
未来のネオ・クイーンセレニティの所か?」

「生かしたおいたところで邪黒水晶のパワーがあふれたこの星で
どうせ永くは体がもつまい
あんなに入れ込むとは」

「3人の戦士達はまだ生きているのか?」

 !!!

「セーラームーンを手に入れるためだけに捕らえた3人だ
もう用はない
暗黒の部屋でひからびるのを待つばかりだろう?」


 …あたしを手に入れるために連れ去ったっていうの?
 そんなことのために3人を・・・!!

 話は続いているようだけどもう何も耳に入ってこない

 ・・・どうしてっ なんでよっ

 怒りで胸の奥が熱くなってきた




「あ・・・」

 熱くなる心とは裏腹に血の気が頭からどんどん引いていく
 ・・・体中の力が抜けていく
 そのままその場に倒れこんだ


「・・・くっ」

 何も出来ないはがゆさに大粒の涙が頬を伝う

 私は無力だ…悔しい・・・悔しいよ
 ごめん・・・私のせいで  み ん・・・な・・・

 意識が遠のいていく





 薄暗い回廊を自身の靴音が響き渡る
 歩きながら自然と笑みがこぼれてきた

 わたしの長年の願いがようやく叶う・・・
 セーラームーンを手中におさめた事で少々有頂天になっていた

 あの瞳、白い肌
 もう誰にも渡さん
 力尽きるまでこの星に縛り付けてやる




「・・・!」

 あそこに倒れているのは・・・セーラームーン?

 ・・・部屋から抜け出したのか
 エナジーもそれほど残っていないだろうに


 ・・・・・・

 その体を抱き上げた
 そっと頬にキスをする


 ・・・心に温かい何かがこみ上げてくる
 何だ、この感情は
 今まで感じたことのない不思議な気持ちだ・・・