「おまえが 欲しい」

「・・・んんっ・・・」

 ぞくっとするデマンドの声

 もうどのくらい彼と体を重ねただろう
 耳元で囁かれる甘い言葉にいつも体を溶かされる

「・・・服を脱いでベッドに入れ」

「やっ・・・」

「それとも押し倒されたいか?
・・・それもいいかもな」

「やだっ・・・自分で脱ぐから・・・先に入って」

 恥じらいながらも従う彼女
 その姿が可愛らしくていつもついからかってしまう

 笑ってる・・・
 あたしの反応を見て楽しんでいるのね
 ・・・なんでいつもいじわるなこと言うの?

「・・・おいで セレニティ」

「・・・・・・あっ・・・」

 腕を引き寄せられベッドに倒れこんだ

「・・・愛している」

「・・・ん・・・」

 熱っぽい唇に塞がれると何も言えなくなる
 頭がくらくらして力が出ない
 体が高揚する


 腕の中で酔いしれているセレニティの姿がいつも衝動を掻き立てる
 ・・・自分が抑えられない

「・・・あっ・・・や・・・」

 デマンドの指先が体を伝う

「おまえの体はもう隅々まで知っている
・・・どこが感じるかもな」

「はうっ・・・」

 敏感に体が反応する

「我慢するな
・・・声をきかせろ」

「やっ・・・」

「・・・聞かせなきゃ途中でやめるぞ」

「・・・もうっ・・・なんでいつもそんなにいじわるなの・・・」


「わたしに応えているおまえは・・・すごくかわいい」

「っ!!」

 思わず耳まで真っ赤になる

「愛している わたしのセレニティ」

 愛している
 
 いつもこの言葉に甘えてしまう
 愛されているという事実に心が満たされて
 あたしは何もしてあげられない

「ずっと・・・わたしだけ見ているんだ」

「・・・ん・・」

 重なる唇から息がもれる

「・・・やっ・・・あ・・・はうっ・・・」


 愛撫の手が段々激しくなる
 ・・・何も考えられない

「もう・・・離さない」

 火照った体を強く抱きしめる
 加減を忘れて壊してしまいそうだ

「・・・デマンド・・・あたしもう・・・だめ・・・」

「・・・どうして欲しい?」

「っ!
・・・いじわる・・・」

「・・・ちゃんと言葉で伝えろ」


「・・・して・・・ください・・・」




 おまえを愛している
 すべてが愛おしい
 いくら言葉に出しても足りない

 どうすれば伝わるのだろう
 ・・・分からない
 こうしてただ夢中におまえを酔わせる事しかできない


 ・・・この幸せな日々はずっと続くのだろうか
 そう考えるといつも不安が押し寄せる
 求めているのはただ一人
 セレニティだけだ
 それだけなのに

 それを奪われる時が刻一刻と近づいてきている気がする
 その時が来たら・・・わたしは何をしてしまうのか
 
 自分でも分からない


「・・・ん・・・はあ・・・」

 果てた彼女が隣で荒い息を落ち着かせる

「大丈夫か?」

「ん・・・いつも激しいんだから・・・」

「おまえがそれに応えてくれるからつい夢中になるんだよ」

「もう・・・
どうしていつもそんなにいじわるなのよ」

「・・・分かってないだろ」

「何を?」

「・・・」

 腕の中に抱き寄せて耳元で囁く

「おまえの感じる声だ
その声にどれだけ心を掻き乱されるか」

「!!!」

「そうやってわたしの言葉に顔を赤くするところも
・・・すべて可愛すぎるんだよ

もう一度襲うぞ」

「ちょっ・・・あなた絶対Sでしょ!」

「そういうおまえはMだろ
ぴったりじゃないか

少し黙れ」

「・・・ん・・・」



 この幸せがすこしでも長く続けばと必死で願った



 ・・・だが願いは通じず
 その時はすぐにやってきた